頭痛

当院の頭痛診療について

頭痛イメージ

当院は開院以来頭痛の患者さんが増え続けており、昨年は頭痛の初診患者さんが年間で2000人以上、再診の患者さんも含めると年間3000人以上の患者さんが受診しました。
お陰様で当院の頭痛診療の治療成績も飛躍的に向上し続けています。

頭痛の訴えで受診される患者さんの多くは、頭痛の回数が増えた、程度が強くなった、頭痛とともに他の症状(嘔気、視野障害、めまい、四肢のしびれなど)が起きるようになったといった理由で受診されます。
頭痛の原因をつきとめるために、当院では初診時には脳と頚椎のMRIを同時に撮影します。脳のMRIでは、脳卒中や脳腫瘍による頭痛(二次性頭痛)を発見する目的で行います。これらの病気は命に関わることもあり、手術などの特別な治療が必要となるので大切です。
しかし、実際は頭痛患者さんの脳MRIで異常が発見されることはむしろ稀なのです。MRIでは異常がみつからない一次性頭痛が90%以上を占めています。
一方で頚椎には頭痛悪化要因が見つかることが多いのです。頭痛初診患者さんの多くに、何らかの頚椎の疾患や異常所見が発見されますし、頭痛の随伴症状としてのめまいや手足のしびれなどの原因としても頚椎に異常所見が発見されることが多いのです。

一次性頭痛は片頭痛や筋緊張型頭痛が主な原因と言われていますが、実際頭痛患者さんを診察すればするほど、その大半は片頭痛であることに気づきます。特に頭痛が頻繁に起きることが長く続いている患者さんは片頭痛がこじれた状態に陥っています。
頭痛が週1回以上起きることが続いている状態を反復性片頭痛、2日に1回以上起きることが続いている状態を慢性片頭痛といいます。こういう状態に陥ると、頭痛の頻度が増えるだけでなく、頭痛が強くなったり、鎮痛剤の効果が弱くなったり、頭痛以外の片頭痛の症状(閃輝暗点などの視野の障害、嘔気、めまい、耳鳴り、四肢のしびれなど様々)も起きるようになります。
これは脳や末梢神経が、頭痛過敏、痛み過敏に陥ってしまっているためです。アロディニアとも呼ばれるこういう脳神経過敏状態は様々な原因で生じますが、一番多いのが鎮痛剤の飲み過ぎです。毎週1日以上鎮痛剤を服用することを続けていると、頭痛が増えていく原因になるばかりか、鎮痛剤も効きづらくなることがあります。
頭痛が頻回に続く状態(週1回以上あるいは月4~5回以上)から脱却する有効な治療が片頭痛予防治療です。予防薬は何種類かありますが、毎日服用することで頭痛が次第に減少し程度も軽減していきます。そして鎮痛剤の服用回数も減少させていくと頭痛がさらに改善していきます。
この片頭痛予防薬こそが、頭痛や他の片頭痛症状が悪化してしまった患者さんを救うために必要な治療で、頭痛治療の中心なのです。頭痛が頻回に起きているのに鎮痛剤を服用し続けるだけの治療は直ちに止めなければなりません。

当院では、この片頭痛予防治療を年間500人以上の初診患者さんに行い、高い有効率を得ています。頭痛の頻度や程度が治療前の50%以下になる患者さんが90%以上、治療前の90%以下になる患者さんも75%以上になりました。
ただし、最近流行りの注射薬(抗CGRP関連製剤)はほとんど使用していません。安価な経口薬で注射薬以上の治療効果が期待できるからです。
頭痛が週1回以上起きることが続いている方、特に鎮痛剤を週1回以上服用し続けている患者さんは、是非とも予防治療を受けることをお勧めします。

片頭痛について

一般的には片頭痛は日本人の840万人で女性に多く、女性の3人に1人が片頭痛と言われていますが、軽症の方を含めるともっとずっと多く、女性は半分以上の方が片頭痛を持っていると思います。ここまで来ると、片頭痛は病気というよりは体質に近いものであると感じています。片頭痛体質の方の一部が、頭痛が強く起きたり、頻回に起きるようになり片頭痛と診断されているのです。特に頭痛の頻度が多い方は、適切な治療で劇的に改善することが期待できるのですが、現実は多くの片頭痛患者さんが医療を受けることなく(医療を受けても!?)鎮痛剤を連用して凌いでいるのが現状のようです。

片頭痛の診断

片頭痛の診断には、痛みの部位が手がかりになりますが、部位だけで診断行うことは診断を間違うことになります。片頭痛の特徴としてよく言われているのは、片側の目の奥やこめかみ辺りの頭痛が多いとされていますが、実際は後頭部や頚部にも多く、両側性の頭痛も多く起こります。痛みの部位だけでの診断で、筋緊張型頭痛とか首コリ頭痛などと診断されてしまうことが多いようですので気を付けなければなりません。
随伴症状も診断の手がかりになります。閃輝暗点などの視野の異常は特徴的で、これがあればほぼ片頭痛で間違いありませんが、視野の異常が起きる片頭痛は全体の1~2割に過ぎません。むしろ多く起きる随伴症状は、嘔気、めまいです。他にも耳鳴りや四肢のしびれ、やや珍しくなりますが手足の脱力、意識消失などの脳卒中のような症状が起きることもあります。頭痛とともに起きるこれらの症状も片頭痛の症状である可能性が高く、片頭痛予防治療で改善が期待できます。
さらに注目すべき点は、頭痛以外のこれらの症状が頭痛を伴わずに起きることがあるということです。特に閃輝暗点やめまい症状が単独の症状として繰り返し起きることも多く、片頭痛治療で改善が期待できるのです。

片頭痛の誘因も様々あります。光、音、においなどで誘発されることもありますが、多いのは気候や気圧の変動、女性の生理や更年期、ホルモン製剤、ストレス、お酒やある種の食品など無数にあるといっていいくらいです。最近問題なのはコロナ感染やワクチン接種が誘因となる患者さんが増えています。
誘因は患者さん全てに共通するわけではなく十人十色です。興味深いのは、ストレスや寝不足が誘因になる一方で、ストレスから解放されたり寝すぎたりして誘発される場合もあるようです。最近、気候痛とか言われている病状も気候や気圧の変動が誘因となった片頭痛なのです。

片頭痛診断で大切なことは、頭痛初発時の状態を聞き取ることです。片頭痛が悪化すると、症状が多様化してしまい診断を誤る原因となります。片頭痛の症状で最も特徴的で鑑別に重要な症状は、鎮痛剤が必要なくらいの強い頭痛が、数時間~1日以内で治まってしまうということです。これは他の頭痛にはない特徴ですが、これも片頭痛が重症化すると分かりづらくなりますので注意が必要です。

片頭痛の治療

急性期治療

片頭痛の治療は頭痛が月に2~3回程度までであれば鎮痛剤の服用で凌ぐことになります。頭痛頻度の少ない軽症者では市販薬やカロナール、ロキソニンで十分ですが、片頭痛に有効な鎮痛剤としてトリプタン系薬剤があり、特に強めの頭痛には有効です。イミグラン(スマトリプタン)、マクサルト(リザトリプタン)、ゾーミッグ(ゾルミトリプタン)、レルパックス(エレトリプタン)、アマージ(ナラトリプタン)の5種類です。効果は類似していますが、微妙な差異があり患者さんによって好みが分かれますので、自分に合った薬を常備することをお勧めします。
最近新たな片頭痛専用鎮痛剤(レイボー)も発売され、こちらも有効です。特徴として頭痛が起きてからしばらく時間が経過した後の服用でも有効とされています。しかし、新薬なので高価です。

慢性期予防治療

問題は頭痛の頻度が増えてしまっている方です。頭痛が週1回以上、あるいは月に4~5日以上起きることが続いている方は鎮痛剤のみの治療では逆に頭痛が増えてしまう可能性が出てきます。反復性片頭痛(週1回以上)や慢性片頭痛(2日に1回以上)の患者さんには予防治療による治療が必要です。
当院では年間500人以上の初診患者さんに予防治療を行っています。再診の患者さんを含めると年間1000人以上の患者さんに行っています。
予防薬として認められている薬は4種類あり、最近新たに1剤(注射剤)も加わりました。
元々ある薬は安価で、しっかりと診断し至適量を使用すると即効性もありとても有効です。
バルプロ酸、トリプタノール、インデラル、ミグシスですが、経験上バルプロ酸とトリプタノールが他の薬剤よりも明らかに治療効果が優れていることが分かりました。

当院ではこれらの薬を駆使して高い治療成績を上げています。予防治療と言っても、ずっと服用しつづけるわけではありません。効果は服用開始から数日~2週間以内で現れ、十分な効果が得られた後はその状態を2カ月程度の継続し治療薬は漸減終了となります。
治療成績は、50%改善率は90%以上、90%改善率が75%を超えています。
一方新薬は抗CRGP抗体製剤(エムガルディ、アジョビ、アイモビーク)と呼ばれる薬で、最近は頭痛専門外来などで盛んに使用されるようになっています。注射を月に1回行うだけの治療で有効性もありますが、半年で自己負担が10万円を超える高価な治療薬です。効果も既存の予防薬を上回るものではなく、50%改善率が50%程度です。
当院では安価な経口薬を優先して使用し、十分な効果が得られない患者さんのみに行っていますので、注射薬は予防治療を行う患者さんの2~3%程度しか使用していません。

予防治療において、もう1つ注目すべき効果があります。頭痛以外の片頭痛症状にも高い効果が期待できるということです。特に閃輝暗点、めまいには有効です。耳鳴りやしびれにも有効な場合があります。
頭痛とともにこれらの症状が続いている場合にはもちろん有効ですが、頭痛がなく単独で起きている場合にも有効です。閃輝暗点やめまいが単独で頻回に起きている方も、試してみる価値がある治療です。耳鼻科でメニエール病などと診断されてめまい薬などの処方でなかなか改善しない患者さんもたくさん受診していますが、片頭痛予防治療で改善しています。驚くべきことに、めまいは完全消失してしまうことが多いのです。

その他の一次性頭痛

緊張型頭痛

年間2000人の頭痛初診患者を診療することを続けていますと、純然たる筋緊張型頭痛の患者さんはほとんどいないことに気づきました。そのほとんどは片頭痛がこじれた状態なのです。
患者さんに対する問診を、現時点の状況だけ聞き取って診断するから筋緊張型頭痛と診断してしまうのです。頭全体の締め付けられるような痛み、後頭部痛や頚部痛、といった痛みの部位や性質だけで判断すると筋緊張型頭痛と診断されてしまうのです。
筋緊張型頭痛の特徴がある患者さんは、特に頚椎の検査が有用で、頚椎疾患や頚椎の異常(ストレートネックなどの並び方の不整や発育性脊柱管狭窄)が見つかることがとても多いです。元々片頭痛がある患者さんに、こういった頚椎の異常が加わると、後頭部や後頚部の痛みが頻回に起きるようになる傾向があるようです。あるいは、元々は筋緊張型頭痛であっても、慢性片頭痛患者さんと同じような脳の頭痛過敏状態に陥り慢性筋緊張型頭痛とも言える病態もあるかもしれません。
結局、元々どちらであったかは治療においてはさほど重要ではなく、頭痛が頻回に繰り返すようになったら片頭痛予防治療を行うと全ての頭痛が劇的に改善するのです。
一番まずいのは、筋緊張型頭痛と診断され、鎮痛剤と筋弛緩剤を連日服用するように処方されてしまうことです。その結果鎮痛剤乱用頭痛に陥り頭痛がさらに悪化してしまうのです。

後頭神経痛

片側の後頭部~頭頂部、耳介後部の間欠的な痛みが特徴です。後頭神経という末梢神経は、上位頚椎から表層に出てくるため、厚い後頭部後頚部筋肉の中を通過してきます。そのため筋肉の圧迫を受けやすくこれが痛みを発生する原因とされています。頚椎に変形がある方に起きやすい傾向がありますので、頚椎の検査が必要です。後頭神経痛はウィルスによる末梢神経炎でも発症します。痛みがある部位に発疹ができれば帯状疱疹の可能性が高くなります。
いずれの原因でも、特別な治療はしなくても1~2週間で自然治癒することが多いですが、痛みが強い場合には神経痛の薬を使用すると症状は改善します。
リリカ(プレガバリン)やタリージェ(ミロガバリン)、トリプタノールなどが有効です。

問題は、片頭痛も後頭神経領域の痛みを発症することが多いので、鑑別が困難な場合があります。痛みが短期間で治まらず、2週間を超えて繰り返すようであれば片頭痛の可能性が高くなり予防治療が有効です。トリプタノールは神経痛にも片頭痛予防にも有効ですので非常に有用です。

群発頭痛

片頭痛と同様に、発作性の頭痛で主に20~40代の年齢層に多く、片頭痛と違い男性に多くみられます。片頭痛よりもさらに強い頭痛発作が、主に片側の目の周囲から前頭部、側頭部にみられます。強く短時間で治まる頭痛発作が、連日、特に夜間に、頻発します。
発作が起きるようになると、数週間ほぼ連日、頭痛が群発し、その後は頭痛が全くない状態が半年から数年程度続きます。頭痛とともに目の充血や涙、鼻水などの症状を伴うことも特徴的です。

原因は分かっていませんが、自律神経が関与する頭部の血管拡張が起きているようです。そのためアルコールやタバコ(ヘビースモーカー)などが誘発要因となる場合が多いようです。
治療については薬物療法が有効で、ステロイドホルモンやトリプタン系薬剤などが使用されます。

立川脳神経クリニック

クリニック概要

Clinic

診療科目

脳神経外科 神経内科 脊椎脊髄外科 生活習慣病

住所

東京都立川市柴崎町6-19-16

アクセス

多摩モノレール 柴崎体育館駅から徒歩3分
立日橋北交差点そば 駐車場完備

TEL

042-522-5155

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